パグ

原産国
中国

体重
6kg~9kg

体高
25cm~28cm

性格や魅力
パグはその小さな体と大きな目で人々を魅了します。彼らは明るく、陽気で、素直で、落ち着いています。一見、良い子の典型のような性格ですが、頑固でマイペースな一面もあります。また、嫉妬深く、甘やかしすぎるとわがままになる可能性もあります。しかし、そのすべてがパグの魅力の一部です。警戒心が少なく無駄吠えもあまりないので、番犬には向きませんが、家族の一員としては最高のパートナーです。その愛らしい顔と人懐っこい性格で、家族の心をすぐにつかむでしょう。パグは、その名前が示すように(パグはラテン語で「拳」を意味します)、小さなパッケージに大きなパーソナリティを詰め込んだ犬種です。

歴史
パグは最も古い犬種のひとつで、その歴史は紀元前2000年まで遡るとされています。その祖先は大型犬で、チベットの僧院で飼育されていました。そこで、チベタン・スパニエルやペキニーズなどと交配され、現在の小型のパグが生まれました。

中国に伝わったパグは、皇室で魔よけとして大切に飼われました。その存在は紀元前600年頃の中国の美術品や文献にも記録されています。その後、世界初の株式会社とも言われるオランダ連合東インド会社が中国との交易を通じてヨーロッパにパグを持ち込みました。

オランダでは、パグは王室や貴族に愛され、特にオランダ王室とは深い縁を持ちました。その後、オランダのスペイン侵攻により、オランダ軍人が連れていたパグの存在がヨーロッパに広まり、イギリスにも伝わりました。イギリスでは、当時の富裕層に流行していたキング・チャールズ・スパニエルと並ぶ人気を博しました。

18世紀には、フランスのナポレオン皇帝の妻、ジョセフィーヌの愛犬としても知られ、彼女の危機を何度も救ったという逸話があります。19世紀にはアメリカにも伝わり、1885年にアメリカンケネルクラブに公認されました。そして20世紀、戦中から戦後の1900年代前半になって、日本にも愛玩犬としてパグが入ってきました。

パグの歴史は、まさに世界を股にかけた旅の歴史です。その愛らしい姿と人懐っこい性格は、時代や国境を超えて人々を魅了し続けています。

飼育の注意点
パグは活発ではないので、適度な運動が必要です。しかし、その運動量は他の犬種と比べて少なめで、1日に30分程度の散歩と室内での遊びがあれば十分です。ただし、パグは暑さ寒さに大変弱いので、特に夏は熱中症に注意が必要です。暑い時期は涼しい室内で運動をさせ、栄養管理に気を配りましょう。

パグは人懐っこい性格で飼いやすい犬種ではありますが、甘やかしすぎるとわがままになることもあります。そのため、適度なしつけが必要です。パグは賢いとは言えませんが、愛情深く、根気よく教えてあげれば、きちんと理解します。

また、パグは短毛でトップコートは滑らかな毛質ですが、ダブルコートなので下毛があり、換毛もします。そのため、抜け毛対策として定期的なブラッシングが必要です。においは少ない傾向ですので、シャンプーは1カ月に1度くらいでも良いでしょう。

ただし、パグの顔にはしわが多く、その中には汚れがたまりやすいです。そのため、こまめにふき取ってあげることが大切です。しわの中に汚れがたまると、皮膚病の原因になることもあります。

パグの気を付けたい病気
パグで起こりやすい病気としては、パグ脳炎と呼ばれる疾患があります。これは壊死性髄膜脳炎という病名で、突然、けいれんを起こして倒れることがあります。パグ以外の犬でも報告がありますが、パグの場合は重症化しやすく予後不良に陥ることが多いため、パグ脳炎と呼ばれるようになりました。

また、パグは鼻が短い犬種であるため、呼吸器の疾患が起こりやすいことが知られています。特に、口の中の上あごの肉が垂れてくる軟口蓋過長や、鼻の穴が狭くなる鼻腔狹窄などがあります。これらの病気が進行すると呼吸困難になるため、早めに気づいて治療をしてあげることが大切です。

さらに、パグは顔にしわが多いため、しわの中に汚れがたまりやすく、皮膚病の原因になることもあります。特に春から秋にかけての高温多湿の時期は皮膚病が起こりやすいので、こまめに清掃してあげることが重要です。

パグの飼育は、その愛らしい姿と人懐っこい性格からすると、意外と手間がかかるかもしれません。しかし、その手間を惜しまずに愛情を注いであげれば、パグはあなたに対してその愛情を十分に返してくれるでしょう。パグとの生活は、その愛情のやり取りが何よりの魅力と言えるでしょう。